「穂高…秋くん…でしたよね…?」
「覚えてたんだ…俺の名前?」
「この前は、ごめんなさい。」
「いいよ。突然来た俺も悪かったし。」
散々優香とか(秋くんは他の男子とか)に事情を聞き出された後、カラオケにいく為に歩いている。
『奏太さんと親友?会った事ある?そうなんだ…』
優香は私の様子を伺いながらそう言った。
仕方がない。
優香は奏太くんが亡くなった直後の私を知っているから、奏太くんを思い出させたくないんだろうし。
「穂高 秋くんは、他の人とあまり話さないんだね。」
「秋でいいよ。まぁ名字でもいいけど、今日はもう1人穂高がいるからな…」
そう言えば、いたかも。
確かもう1人は、穂高 空(ホダカ ソラ)くんだ。
さっき言ってた。
「じゃあ、秋、くん…?」
「うん。その方がいい。フルネームで呼ばれると気持ちわりぃし。」
「そうなの?」
「サクラさんは、違うのか?」
どうだろう。
孤児院では皆成瀬川だから、名前でしか呼ばない。
それが当たり前だったから、考えもしなかったけど、よく考えて見れば気持ち悪いかも。



