「感動したぞ、田中君。」

寺門が猛烈な勢いで激しい抱擁をしてくれた。

「あの全国ベスト8の恭介にあんな風に言えるなんて。」

へ?

全国ベスト8?

あいつそんなに凄くなってたの?

急に寒気がしてきた。

浮かぶイメージは血みどろのボコボコニノックアウトされた自分の敗北姿だけだった。

「この一ヶ月、俺が田中君の特訓をしよう。」

「実は俺もアブラム氏から君の事を頼まれている。」

急な寺門のカミングアウトに驚いた。

アブラムどんだけ顔広いんだよ。

「あ~、そうそう、私も私も」

軽いノリでカミングアウトする尋には驚きとは別の感情が生まれた。





何でもアリかよ・・・





皆、アラブムに頼まれて、俺の事を気にかけていてくれたようだ。

寺門とは毎日早朝早い時間から一緒に特訓する事になった。

尋と咲美にもお礼を言ってその日は家に帰ることにした。