重い足取りで家に帰り、パソコンの電源を入れた。

アブラム『よぉ!剣道部には行けたか?』

ウコン『うん。一応ね。』

アブラム『そっか。よかったよかった。』

アブラム『本当に行けるか心配してメールまで送っちゃったぞ。』

ウコン『うん。ありがとう。』

アブラム『どうした?何か嫌な事でもあったか?』

ウコン『ちょっと・・・ね』

アブラム『言ってみろ。』

俺は剣道部で恭介にやられた事を話した。

手も足も出ず、やられて、そのうえ憧れの尋に同情までされた事。

アブラム『そっか』

アブラム『よかったな』

え?

俺的には何もいい事などない。

そればかりか人生でこれほど悔しくて、情けなくて、惨めな気持ちになったことなんてほとんどない。

ウコン『なにもいいわけないだろ』

少し乱暴な文章でそう言い返した。

アブラム『いや、落ち着いてよく考えてみろ』

アブラム『負けて悔しいってことはそれだけ君が剣道を好きってことだろ?』

アブラム『それに恭介に勝ちたいと本当に思っている証拠だろ?』

アブラム『わかってよかったじゃないか』

アブラム『そう思えるやつはがんばれるし、きっと恭介にも勝てる』