目を覚ました時には、外は完全に日が暮れていた。

俺は部室のベンチに寝かされて、おでこには冷たく濡らしたタオルが置かれていた。

「ちくしょう」

恭介にやられて、気絶した事を思い出して悔しさが湧き上がってきた。

「起きた?」

突然そばから声が聞こえてきて、俺はびっくりして飛び起きた。

「尋、いたんだ。」

「介抱してくれて、ありがとう。」

「俺、情けないな。」

うなだれてそう言う俺の頭を尋がやさしく撫でた。

「仕方ないよ。」

「右近君は二年ぶりの部活だし、恭介君は県大会で優勝したこともあるくらいの実力者だし。」

そう言って慰めてくれる尋にいつもなら喜びを感じそうなものだったが、その時は喜ぶ気持ちはなれず、すごく情けなくて惨めになった。

「俺、帰るよ。」

俺は部室を飛び出した。

すごく情けなくて。

すごく惨めで。

すごくかっこ悪い自分が悔しくて。

涙が出た。