「・・・俺行くよ。」

「剣道は・・やりたいんだと思う。」

咲美は「そっか」とだけ言った。

そんな話をしているうちに学校に到着した。

引きこもりから抜け出して、学校に来るのは三回目だが、やはり自分のクラスへ行くとなると緊張する。

そんな俺の感情を感じ取ったのか、咲美が俺の背中をドンッと力強く叩いた。

俺が咲美の顔を見ると、二コリと笑って「大丈夫」と言った。

二人で一緒に教室に足を踏み入れた。

扉の近くの席のクラスメイト数名が俺を見て、驚いた顔をした。

あっと言う間に教室はざわめきだした。

「田中君の席、ちゃんと残ってるよ。」

そう言って咲美は俺の背中を押し、一番後ろの窓際の席へと案内してくれた。

クラスメイト達の話し声が聞こえてくる。

「・・あいつ誰だっけ?」

「田中だろ?登校拒否だったやつ」

「あぁ・・あのうんこ君か・・・クスクス」

「そーそー・・クスクス」

「今さら何よ?ってか留年じゃねーの?」

「なんかうちの学校試験に通れば留年チャラらしいよ・・・」

「まじかよっ・・俺も登校拒否すればよかった・・・クスクス」

息が苦しい。

吐き気もする。

意識が朦朧としていくような感覚が俺を襲った。