「どうしたのボーッとして?」

尋との再会の余韻に浸って放心状態の俺の目の前に咲美が訝しげな顔で立っていた。

「うわぁ」

急に目の前に現れた咲美に驚いて、大げさに後ろに飛びのいた。

「大げさだなぁ、そんなに驚く事ないでしょ。」

「何かおごってくれるんでしょ?」

「さぁ行こう」と元気いっぱいの咲美は抱いていたイメージとは少し違っていた。

今までの咲美のイメージはガリ勉で冗談の通じないタイプだと思っていたが、親しくなると、明るくてとても話しやすく一緒にいると心が温かくなるような、しかも実はとても可愛い、そんな子だとわかった。

「尋がとても手の届かない頂きに咲く薔薇だとすれば・・・」

「咲美は野に咲くタンポポかな・・・」

無意識に俺はそんなことをつぶやいていた。

「誰が薔薇で、誰が雑草だって?」

目の前には眉を吊り上げた咲美がいた。

俺はまた「うわぁ」と大げさに驚いた。

雑草とは言ってないんだけどな・・・

俺達は学校からほど近いお好み焼屋さんに入る事にした。