しかし、もはや手段を選んでいる場合じゃない、自称神様の残したただの落書きかもしれなくても、今はこれに頼るしか道はない。

俺は地の巻の続きに目を通した。

「これを開いているという事は、第一のピンチが君に訪れたという事だろう。」

「そんな君に教えを授けよう。」

「だがしかしその前に聞いてほしい事がある。」

「この間、近所の家に猫が生まれて、私は目下その子猫の名前を考えるのに頭を悩ませているのだが、君はどう思う?」

「その子猫はまっしろで尻尾の先だけ黒いので『シッポ』と名付けようかと思ったがしかしそれは・・・」

俺は素早く携帯を閉じた。

世の中、最後の最後で頼れるのは自分だけなんだ。

覚悟を決めて、重い身体を引きずって玄関へと向かった。

ドアノブを回そうとかけた手が、思うように動かない。

まだ家の玄関だというのに、嫌な汗をたっぷりとかいている。

とりあえず、心を落ち着かそうと、自称神様の落書きを最後まで読んでみようと思った。

俺はそれほどまでに追い込まれていた。