ポカリを確保した俺はレジへと真っすぐに進んだが、そこでまた足が止まった。

さっきはおばさんに不意をつかれた形だったが、レジに行くという事は、今回は自ら切り込んでいく状況だという事に気がついた。

しかも店員さんは若くて可愛い女の子。

ハイレベルすぎる・・・

後ろに下がろうと思ったが、後ろには挙動不審な俺を訝しげに見るおばさんがいた。

前門の虎、後門の狼とはまさにこの事である。

もはや覚悟を決めて前に進むしかない。



討ち入りでござる・・・

「いらっしゃいませー」

「147円になります。」

俺は無言で150円を置こうとした。

その時、とんでもないものが目に入った。

店員さんが両手を差し出している。

手に置け、という事なのか?

それでは俺と店員さんの手が触れてしまう。

つまりはだ・・・

俺はこの可愛い店員さんと手をつないでしまうという事だ。

前門にいたのは虎ごときではなかった。

地上最強の肉食獣といわれるホッキョクグマだったのだ。