蛍の光を歌い。

卒業生代表で寺門が壇上に登り、答辞を読み上げた。

いつもながらに熱い寺門の言葉。

普段は暑苦しくて、うざいくらいに感じていた寺門トークだが、この時ばかりは不覚にも目頭が熱くなった。

最後に歌う校歌。

ダサい歌だと思っていた校歌もこれが最後かと思うと、なんだか胸を締め付けられた。

卒業式になって、俺は後悔している。

なぜ引きこもっていたのか。

最後になって気づく、高校生活の素晴らしさ。

俺はその素晴らしい高校生活の2年間を棒に振った。

叶うならば、引きこもる前の自分に戻りたい。

自分の今を変える事ができた俺だったが、過去を変える事はできない。

最後の校歌を歌いながら俺はそんな事を思っていた。