恭介との試合の日から、幾日か流れた。

しかし、あの日の事は今では昨日の事のように感じる。

俺が自分の今を変えた日。

俺は奇跡的に剣道部三年最後の大会の団体戦レギュラーに選ばれた。

二年のブランクがあったが、恭介との試合に勝った事を評価されたのだろう。

恭介は三年最後の大会で、個人優勝を果たし、うちの剣道部は団体戦準優勝に輝いた。

恭介は個人戦で優勝できた喜びよりも、団体戦で負けた悔しさの方が大きかったらしく、かなり大げさに悔しがっていた。

寺門は後輩に最後のお説教をしながら、大粒の涙を流していた。

本当に最後まで熱血な男だ。

俺は決勝で負けたのは悔しかったが、準優勝という結果には満足していた。

ついこの間まで、引きこもり立った俺が、今は公式戦に出て、仲間達と準優勝という胸を張れる結果を残せたことが嬉しかったからだ。