「・・・ごめん。」

尋が泣きながら頭を左右に振る。

涙声で「知ってた。」とだけ言って激しく泣いた。

俺は尋が泣きやむまで河川敷に座って沈む夕日を眺めていた。

「私の事、中学までは好きだった?」

「今でも好きだよ。」

「でもこれはきっと憧れなんだと思う。」

「ごめん。」

「謝らないで、なんかすごい惨めじゃない。」

尋がやっと笑顔を向けてくれた。

微笑んだ後、尋は勢いよく立ちあがり言った。

「こ~んな美人を振って、絶対後悔するからね!」

あいかわらずの可愛い笑顔でそう言って、俺にあかんべーをする尋。

こんな尋だから俺は心の底から憧れたんだ、と思った。

「さっ、行って行って。」

尋は俺の腕を引っ張り、無理やり立たせた。

「ごめ・・・」

尋がキッと俺を睨みつける。

「・・ありがとう!」

そう言うと尋は再び、とびきりの笑顔を見せてくれた。

俺はその笑顔を背中に受けて、全速力で走った。