帰り道は夕暮れで、夕日に照らされる尋の横顔はなんだかキラキラしていつも以上に可愛く見えた。

「観覧車の中でした、約束覚えてる?」

恭介に勝ったら付き合うという約束の事だろう。

忘れるはずがない。

「・・・覚えてるよ。」

しばしの沈黙。

「恭介君に勝ったね。」

「・・・・うん。」

なんだか緊張して、まともに尋の顔が見られない。

俺は俯きながらあいづちをうった。

尋も緊張しているのだろうか。

俺と尋は無言のまま、夕日の河川敷を歩いた。

頭の中を寺門の言葉が何度も往復する。

「どっちつかずは感心しないな。」

そんなことはわかってる。

沈黙に耐えかねたのか、尋が明るい声色で喋り出した。

「これは覚えてる?」

「中学の大会で、恭介君と右近君が対戦した時。」

「覚えてる。」

「私が恭介君とした約束、右近君聞いてたでしょ?覚えてる?」