恭介と俺は開始線に戻り、腰を据えた。

延長戦になるなんて考えてもいなかった。

それより、恭介の突きを狙っての胴打ち。

それ以外に俺が恭介に勝てる手段など持ち合わせていなかった。

助けを求めるように寺門の方を見た。

寺門は俺から目を背けて、俯いた。

万策尽きた、という事だろう。

開始の合図がかかっても、俺は逃げる事しかできなかった。

恭介の激しい打ちこみに後ろに下がる、下がる。

恭介の体当たりに飛ばされ倒される。

立ちあがろうとしたが、膝が震えている。

震える膝を押さえながら、ゆっくりと立ち上がった。

開始線に戻り、再び試合が再開されるが、俺はひたすら無様に逃げ回った。



「待て!場外!」



俺は逃げ回り、場外に飛び出した。

小桜先生から遂に場外反則を取られてしまった。

場内からは「逃げんじゃねーよ」と激しくヤジが飛んだ。