「残り一分からが勝負。」

寺門の言葉を思い出していた。

「恭介相手に正面から一本取るのは至難の業だ。」

「しかし恭介が攻撃に移った時、防御は甘くなる。」

「田中君が練習の時、恭介から一本とったように恭介の打ち終わりを狙うんだ。」

「残り時間が少なくなって、恭介が本気で決めようとする時。」

「あいつが放つのは・・・」



小桜先生の開始の合図がかかると同時に恭介が猛然と責め立ててきた。

さっきまでと同じように恭介の攻撃を避ける。

しかし、体制は大きく崩さないように、ひたすらチャンスを待った。

恭介の強烈な面打ちを、寸前のところで受け止め、押されたふりをしてわざと体勢を崩した。

それと同時に恭介が竹刀を腹部に引きつけた。



『突きがくる!!?』