刻一刻と近づく俺達の番。

冷たい汗が背中をつたった。

「どうぞー、ベルトはしっかりお締め下さい。」

店員さんが元気に挨拶し、丁寧に通してくれた。

並んでおいてなんだが、有難迷惑だ。

ブザーが鳴り、ゆっくりとジェットコースターが動きだした。

膝が震えるし、なんだか気分が悪くなってきた。

ゆっくりゆっくり坂を上るジェットコースター。

心の中で独り言をつぶやく。

『わかってんだよ。どうせこの後落下するんだろ』

『知ってるんだよ。早いんだろ、怖いんだろ』

『大丈夫だよ。俺は男の子強い子なんだよ』

一瞬坂のてっぺんでジェットコースターがとまったような感覚がした。

そして次の瞬間、ものすごい勢いで急降下した。

ものすごい揺れ、ものすごいスピード。

隣に尋が座っているのに、目をつぶって怖がっているところを見られるわけにはいかない。

俺は歯を食いしばって、目を見開いた。

高速で走るジェットコースターは俺の瞳をすぐにドライアイにしてしまった。