「奈津子…?」
びく!
あれからお母さんが再び手帳を開くことはなく、お風呂に入り部屋のベットで考え事をしていると、お母さんの小さな声が聞こえた。
「な、なぁに?」
「明日…奈津子の誕生日よね」
「あ、ああ。うん」
「誕生日会しようと思うの。だから明日こそは早く帰ってくるのよ?」
「分かった…」
いつもと変わらないお母さんのハズなのに…
あたしは恐怖さえ感じていた。
お母さんが…分からない。
あの手帳の意味は普通に考えて0点になったら叱られるんじゃないかって思うかも知れない。
だけどそんなのじゃない気がするんだ。
嫌な予感がする。
「おやすみなさい、奈津子」
「おやすみなさい…ね、ねぇ、お母さんっ」
「ん?」
「あたしのこと…どう思ってる?」
「……………………………………………………………………ふふ………秘密」
どうして、大切だって愛してるって言ってくれなかったんだろう。
ゾクゾクとした背筋の寒さを庇うように我が身を抱きしめるようしにして眠りについた。


