母の手帳

「お父さんがいなくなってすぐはなんだか元気がなかったけど、あなたはすぐ元気になったわ。

頼る人が私しかいなくなったあなたは私を頼って生きていった。
それがとても可愛くて、愛おしかったのよ?

あなたが大切だった。
私の全てはあなただった」


お母さんはそこで言葉をふと止めて、あたしの前にしゃがみこんだ。

頭を優しく優しく撫でる。


「私が生きる糧はあなた。

私の存在価値はあなただったの、分かってくれる?

だからあなたは私に相応しい娘にならなきゃいけないと思ったわ。
いやしてみせると誓ったの」