母の手帳

「うっ…ひっく…」


どのくらい時間が経ったのだろうか。
随分時間が経った気がする。
あたしにとっては地獄のような時間だった。



獣の交尾ような行為が終わりあたしは涙を流しながら天井を見ていた。


もう体も心もズタズタだった。


「…奈津子」

我にかえったのか、事の重大さが分かったのか知らないが、先生はオロオロとあたしに触ろうとした。

「触らないでッ!この、変態!大嫌い!」

あたしは放心する先生を置いて社会科室を出た。


そして家まで走った。
走りながら携帯を開くともう7時過ぎ。

あたしは色々な気持ちが込み上げてきて泣きながら走った。
ホントはもっと悲しみに暮れていたいのに、そうさせてくれない母の言葉も、自分も、全部全部いやになった。