出かける準備をして玄関で靴をはいている時だった。

「杏珠、出かけるのか?」

父親だ。

「あぁ。」

「そうか。あぁそうだ、父さんの机の鍵知らないか?」

一瞬ピクリとなる。

「そんなもの、俺が知るわけねぇじゃん。ちゃんと探したのかよ?」