紅の月

どんどんと近付いてくる音に彼女は泣き出しそうになった。




緊張のあまり、吐き気にも似た衝動が彼女を襲う。




気持ち悪さと怖さで動くことを忘れた彼女は、音の鳴る方に目を凝らす。




夜風に揺れる木々の隙間を月明かりが照らしたその瞬間、走ってくる正体を彼女は見た。




交番などでよく見かける制服を着た警察官だった。