『じゃあ入って』
オレが
教室に
一歩を
踏み出すと
また教室が
騒がしく
なった。
教室の
後ろの
ほうで
校長先生が
ニコニコして
オレを
見てる。
オレは
黒板の
前に
立った。
『転入生の柏木裕太くんだ。仲良くしろよ!』
先生が
黒板に
でかでかと
オレの
名前を書く。
『じゃあ柏木くん、なにかひとこと』
なにも
言う気に
なれなかった。
『…とくにありません』
その
ひとことで
クラス中が
静まり返る。
先生も
ちょっと
慌てる。
『え、あっ、じゃあ…そこの席に座って』
『はい』
席につく。
一番後ろの
窓側の
席だった。
前には女子。
横にも女子。
斜め右は…
休みなのか
いなかった。
きっと
男子だろう。
『じゃあ、ホームルームを終わります』
先生が
教室を
出て行くと
同時に
オレの
まわりは
人だらけ。
『なぁなぁ』
『…なに?』
最初に
話し掛けて
きたのは
耳にピアス
制服を
着崩して
香水臭い
やつだった。
けど
意外に
いいやつで。


