『…きっと、オレもう、最期なんだ』
『は…?』
『もう永くないから、医師の人は、オレに退院の許可をくれたんだ』
『なに言って…』
その
言葉を
否定
したかった。
でも
なんて
言えば
いいのか
わからなくて
なにも
言えなかった。
相沢和也は
窓の
外に
目を
向けた。
遠い目を
して
そして
言った。
『でもオレ、あと1ヶ月も生きられるんだぜ?あと、約30日も』
オレらに
とって
みれば
30日なんて
短すぎるよ。
『だからあと約30日。よろしくな』
『…あぁ』
そう
答えることしか
できなかった。
いつのまにか
和也は
オレを
『裕太』
と呼ぶように
なった。
オレも、
『和也』
と呼ぶ。
和也は、
普通に見れば
病人には
見えないのに。
ただ
細くて
色白なだけ。
ちゃんとした
男なのに。


