伊本が来て一週間。
アタシと伊本は一緒に行くようになっていた。
毎朝話すのは、昨日見たテレビとか、最近の授業。
“数学とか、先生の説明わかりにくいよね”とか、“国語の抜き打ちテストの結果はやばかった”とか、くだらないようなことばかり。
でも、いつもの学校へ行く道が、短く感じるのは多かった。

玄関に入ってすぐ、
「楓さん。つ、、、、付き合ってください!!」
あー、、、嫌な時に来てしまった。
見たのはクラスのモテる女子、楓 葉月って子が他のクラスの男子に告白されている所。
葉月ちゃんは確かに可愛いけど、あんまり話したことがない子。
休み時間、いつも本を読んでて仲良くしづらい子だし、他のクラスの女子からいじめられてるとか、ウワサを聞いた。
だからさらに仲良くしづらい。
「誰?あの子。結構可愛いじゃん?」
伊本は興味津々。
「バカ!葉月ちゃん!楓さんだし!!クラスにいるでしょ!?」
一発伊本の頭を叩き、耳打ちした。
伊本は知らなくて、「え!嘘!?」と、アタフタ。
本当にバカ!
「あの、、、、ごめんなさい」
葉月ちゃんはやっぱり振ってる。
いつものことだと思う。そこら辺の男子なんかに興味無いんだから、言ってもしょうがない。