「じゃぁ、伊本は福田の隣な」
担任の林　政美（通称　林）が言った。

伊本は
「よろしくお願いします」
と、行儀良く礼をした。
どこのお坊ちゃまかよ！
と、ツッコミたいところだが、転入生だ。
「まぁまぁ、そんなに気ぃ張んなって」
と、フレンドリーに接した。
アタシがフレンドリーなのは珍しい。
一応人見知りはするので。
「そうだね」
って笑う伊本は、アタシをフレンドリーな奴だと勘違いしただろう。


普通はここで会話は途切れる。
でも、伊本は違った。
「なぁ、福田って呼んでもいい？」
普通にこんなことは起きない。
しかも、転入生で初対面なんて滅多にない。
でも、ウザイとか思わなくて、
「いいよ、じゃぁアタシも伊本って呼ぶから」
と、言った。

二人は仲良くなった。