それぞれ品物を買った二人は、途中まで一緒に帰った。その間、2人は将来のことや、好きな女子のことを話した。
「3組の典夫ってさ、絶対藤川のこと好きだよな?」
 笑いながら言う武瑠に、淳也は少しムキになっていい返す。
「いや、そんな事はねぇよ」
 実は、淳也も藤川咲希のことが好きで、今回勉強を始めようと思ったきっかけも、藤川と同じ高校へいきたいと思ってのことだった。
しかし典夫は、勉強こそできないが、スポーツ万能、容姿端麗で、モテ要素は十分に持っていた。だから、もし典夫が同じ高校に来れば、実際、淳也に勝ち目は無かった。
「っていうかさ、お前好きな子いねぇの??」
 気を取り直して、淳也が訊いた。
「俺?…う〜ん、お前が教えたら言ってやるよ」
「じゃぁ、お前から言えよ。そしたら俺も言うから」
 もちろん、後で言うなんていうのは嘘なのだが…。しかし、そんな話には簡単に乗ってくれなかった。
「そんなんで聞きだせると思ったのか?幼稚だな」
 「うるせぇ!」
 半分見下すように言う武瑠を、淳也は軽く蹴った。
 しかしそれを軽くかわして、武瑠は笑いながら、
「じゃあな!淳也。お勉強頑張れよ」
 と言い捨てて、分かれ道を右へ曲がって行った。
 最後まで嫌味なヤツだったが、勉強を頑張ろうと思うきっかけになった。