持っていたグラスを静かに起き、文也はまじまじと春美を見る。
「なぁ、俺たち、付き合ってどれくらいたった?」
「1年半」
「そっかぁ」
春美は文也の長い指が好きだ。その指はグラスを撫でるように触っていた。
「なんで?」
「ん?いや、昔と変わんないなって」
いつも見ている文也の指が、今日は妙に色っぽく見える。
「それって悪い意味?」
「いや」
指は移動して、頭を掻いた。文也の顔は少しはにかんでいる。
「良い意味だよ」
春美は赤くなる彼の顔を見て、1年半前のことを思い出した。
彼は前も、照れていた。
これよりもっと赤い顔をしてたんだ。

