隠れ鬼ごっこ

昴「どう…だっ…化物…っ…!ちったぁ…効いたか…!」


ハァ、ハァと息をきらしながら昴は鬼にそう言った。

鬼は刺された方の目を押さている。


そこからはどす黒い血がボタボタと垂れている。


最後の力を振り絞り、昴は鬼に致命傷を与えた。


―これであいつらが逃げやすくなる―


そう思いながら。


しかし…昴が思っていたよりも甘くはなかった。


次の瞬間、鬼の目の周りを赤い光が渦巻いたかと思うと、あっという間に目から出血がなくなった。


昴「なっ…!?」


「残〜念〜♪」


驚く昴の耳に場違いの声が聞こえた。


あのピエロの声だった。


ピ「いやぁ〜、片手をもがれて意識が朦朧としてる筈なのに!凄い根性だねっ!ブラボー!!」


ポンッと紫の煙の中からピエロが出てきた。


ニヤニヤと笑いながらピエロは昴の前に顔を近付ける。


ピ「まさか、やると思ってなかったから説明してなかったけど…鬼は怪我しても僕がちょちょーい♪と綺麗に直しちゃうから怪我させても意味がないんだよ♪」


昴「そ…んな…」


昴は絶望した。


つー事は…あんだけ体力もあって、すぐに怪我も治るって事だろ?


そしたら、明らかにあいつらは不利じゃないかよ…!

昴が眉間にしわを寄せているとピエロは楽しそうに話始める。


ピ「ふふ♪君はなかなか良かったよー?昴くん♪お友達を助けて自分が死ぬなんて感動だよ?僕は泣きそうになっちゃった」


シクシクと出てもいない涙を拭うピエロ。


このゲームの進行人であるこいつが…こんなにも近くにいるに何も出来ない自分が情けなかった。