隠れ鬼ごっこ

昴「緑…だけにしろよ。壊れんの……」


拓「!!」


拓海は昴を見た。


昴「そうだよ…お前等だけでも…帰るんだ…!こんな馬鹿げた世界から……!だから…だから……!」


昴を息を吸い込んで叫んだ。


昴「行けぇ!!!」


拓「!す…ばる…」


必死に叫ぶ昴の名前を拓海は呼ぶ。


行きたくない…!


昴を置いてまで逃げたくない…!


でも…そうしたら文太の想いは?昴の想いは?無駄になる…?


怜達は…?


俺は悩んだ挙句…ぎゅっと拳を強く握って「畜生ォ!!!」と言って走り出した。


こうするしかないんだ…!

今は…!!


涙で滲む視界。


走り出した拓海を見て昴わ安心したように笑った。


すると――


拓「昴っ!!」


昴「!?」


クルッと拓海が後ろを向いた。


拓「てめえは…!俺の“親友”だっ!だから…だから……!“次”会う時も…!次に会う時にも……!」


拓海は上手く涙で伝えられなかった。


でも、昴には伝わっていて、はじめは驚いた顔をしていた昴だが、悲しそうに笑い頷いた。


その様子を見て、拓海はニッとぎこちなく笑って…廊下を走って行った。