隠れ鬼ごっこ

昴「行けよ…!早く…!俺は…多分そんなにもたない…から…。うぁっ…!だから…だから…早く…!」


ブチブチッ……


もうあり得ない方向に向き始めている昴の左腕。


昴「お前はさ…俺にとって1番長い付き合いで…1番仲良かったと思ってる奴だから…。だから…行って欲しい…頼むよ…拓海」


痛みに顔を歪めながら…それでも笑いながら昴は拓海を見つめる。


拓海は今にも泣きそうな顔で昴を見る。


昴「なんて顔してんだよ…、バカ拓海。お前には、あのバカみてぇに笑ってる顔しか似合わねぇのに…ぐあ…っ…!」


ブチブチッという嫌な音が拓海の耳にも届いた。


昴「行け……早く……!」

歯を食いしばりながら昴は伝える。


そんな昴に拓海は眉をひそめながら言った。


拓「バカ…じゃねぇの……。皆で帰るって言ってたのに…!」


昴「…ゴメン。でも、仕方がねぇよ…。あっ、そーいや…これねぇと困るだろ」


そう言って投げつけたのは懐中時計。


拓海はさっき教室の前に落としたので、なかった。