隠れ鬼ごっこ

昴「っはぁ…はぁ…!」


暗い廊下を無我夢中で走る。


道も分からないから、さっきから階段を上がり降りしている。


段々と息がきれてきた。


拓「畜…生…っ…!」


拓海も昴もかなり疲労していた。


しかし、鬼は顔色一つ変えずに同じスピードで追いかけてくる。


徐々に距離を詰められてきた。


拓「くっ…そ…!こん…な…ところで…死ぬ…わけには……!」


ハァ、ハァとかなり息をきらしヘバってきている拓海が小さな声で呟いた。


昴「…く……」


昴もそろそろ限界だった。

その時……


拓「ッ!?」


ドサッ!


昴「!? 拓…海…!」


拓海は足が縺れ転んでしまった。


その様子を見た鬼がニタリと笑った。


拓「ハァ…くそっ…!!」

拓海が諦めたかように言った。


鬼が拓海に覆い被さろうとした瞬間――


昴「うらぁ!!」


鬼「!」


昴が鬼を思いきり蹴飛ばした。


鬼は後ろに倒れた。


昴「っはぁ…!何、ヘバってんだよ…拓海っ!今の内に…逃げるぞっ!」


拓「わ…わりぃ」


昴は拓海の手を引っ張って立たせる。


昴「ほら、行くぞ―――」

駆け出そうと足を出したのと同時に――


――ガシッ


昴「!!!!」


昴の左手を鬼が掴んだ。