隠れ鬼ごっこ

拓「やっと見付けた…!行こうぜ昴っ!」


昴「あぁ!」


2人は教室に向かった。


あっ、そだ。


怜と雅明に言わねぇと…。


昴は拓海の後に続きながら携帯を取り出した。


すると沢山の着歴とメールが1件入っていた。


着信は全部、怜だった。


あぁ、そーいや、鬼にバレねぇようにサイレントにしてたんだった……。


てか、なんでこんなに電話してきてるんだろ。


そう思いながらメールを見る。


メールも怜だった。


メールの内容は簡潔に


“二人組の女の子が居たら気を付けろ。多分騙されて囮にされるぞ。実際に囮にされた子もいる”


と書かれていた。


二人組の…女の子?


さっき会った女の子2人を思い出す。


あの子達の事だろうか?


1人は捕まってしまい殺されている。


すると残りの相手の参加者の人数は4人。


怜が会った囮にされた子というのは2人…少なくとも1人。


今、怜と一緒に居るだろうから二人組になれるのはさっき会った二人だけだ。


怜が嘘をつくわけがない。


じゃあ、マジで…!?


囮にするのにわざわざ出てきて文太が居たと見ず知らずの俺らに言うわけがない。


という事はさっき見た人影は――鬼。


俺達が今、自ら近付こうとしてるのは鬼だ。



昴は慌てて前を歩く拓海を見た。


拓海は教室の扉に手をかけようとしていた。


咄嗟に昴は手を前に伸ばし走りながら叫んだ。


昴「駄目だ、拓海!これは罠――」


しかし――


拓「えっ?」


叫んだのと同時にガラガラと拓海は扉を開けてしまっていた。


――ゾクッ


「!」


扉を開けると共に感じた寒気。


昴が拓海のすぐ後ろについた。


そして、そこに居た人影を見た。


教室に真ん中に居た“人影”がゆっくりとこちらを向く。


拓「あ……!」


そこに居たのは――血に濡れた鬼だった。


冷たく鋭い…憎しみのこもった目が2人を睨み付けて笑った。