隠れ鬼ごっこ

殺…された…?


本当に…?


俺は慌てて懐中時計を見た。


怜「!」


雅明も俺の懐中時計を覗く。


雅「割れてる…」


1つ水晶が割れていた。


俺等が唖然とする中、麻里は説明を続ける。


麻「それを…目の前で見てしまって……。その時に…私達のグループの中でリーダーシップをとっていた子が取り乱してしまったんです。…それで、もう1人の子を連れて…私と…もう1人の子を…囮にして…逃げてしまって……」


酷く言いづらそうにそう言った。


雅「えっ…!?友達…ですよね?」


麻里はコクンッと頷いた。


怜「友達を売ってまで逃げようとするなんて…嫌な奴だな」


麻「本当の死を見てしまって、生への執着心が強くなってしまったみたいなんです……」


怜「ところで、もう1人は?」


麻「! その…」


麻里はまた酷く言いづらそうにしていたが、口を開いた。


麻「私…足が遅くてそれでもってどんくさいから…危うく鬼に捕まりかけたんです…。その時に…奈緒(ナオ)…もう1人の子が私を庇って……そこではぐれてしまったんです」


麻里は今にも泣きそうな目で俺を見た。


麻「だから…私、奈緒を探してたんです。水晶が割れてないからまだ無事だとは思うんですが……」


瞬きをすると落ちる透明な雫。


雅明はハンカチを渡しながら笑顔で話す。


雅「大丈夫ですよ。きっと見付かりますよ。だから…だから泣かないで下さい」


更に雅明はニコッと笑った。


麻「…そう…ですよね。泣いてる場合じゃないですよね」


麻里も雅明が貸してくれたハンカチ涙を拭いながら、笑った。