隠れ鬼ごっこ

美「え、えぇ。大丈夫」


美咲と呼ばれた子は昴の手を借りて立ち上がった。


拓「もしかして…君たちも参加者?」


拓海がそう言うと彼女達はコクンと頷いた。


昴「あっ、俺達以外の参加者か…。…!そうだっ!さっきさ、ここで俺達と同じくらいの奴走って行かなかった!?」


昴と拓海が期待して2人を見つめる。


美「…あぁ、見ましたよ。私達は隠れてたので彼は気付いてなかったですが、あっちに走って行きました」

そう言って暗い廊下を指を指した。


拓「マジで!?」


美「えぇ。…ねぇ、絵里(エリ)?」


美咲の問いかけに絵里と呼ばれた子も頷く。


昴「なら良かった!あっ、あのさ。女の子2人だと危ないし、今は協力し合った方が良いと思うから…良かったら一緒に行かないか?」


ここで会ったのも何かの縁だ。


女の子と文太の居場所を教えてくれたのも言うのもありそう誘ったが……。


美「…ごめんなさい。実は私達、友達とはぐれてしまったんです。だから…ここを離れるわけにはいかないんです」


絵「私達の事は心配しないで下さい。大丈夫ですから」


そう言ってニコリと笑った。


(はぐれた……。!あぁ、そうか…。さっきの割れた水晶はこの子達の友達……)


昴はさっきの懐中時計と水晶を思い出した。


言った方が良いのかなと昴が思っていると拓海が口を開いた。


拓「そっか。じゃあ、気を付けろよ。昴行こう。早くしないと見失う」


拓海の言葉に我に返った。

(そうだ…。今は文太が最優先だ。いずれ知る事だし…今、取り乱させるわけにはいかない。今は黙っていよう)


昴「あぁ。分かった。ありがとな、気を付けて」


美「えぇ」


拓海と昴は「じゃっ!」と言って暗い廊下に向かって走り出した。


その後ろ姿を2人は不適に笑いながら見ていた。