隠れ鬼ごっこ

昴「何が?」


顔を拓海に向けずに昴も聞き返す。


拓「やっ、さっき…始まった直前なんだけどさ…なんか異様に落ち着かなかったってゆうか冷静じゃなかってゆうか…」


昴「あぁ…あのパニクってた時か。…まぁ、俺も人の事は言えないが」


何せ焦ってパニックになりかけたから…。


拓「確かに雅明が足掴まれて、逃げ出した時は素だったけど…俺、あんな事…言うつもりなかったのにさ」

拓海は少し声を小さくして言った。


文太は文太で気にしているのだろうが、拓海も拓海で気にしているのだろう。


昴「確かに……。いくらパニクってたといえ、お前があんな事、言うのはおかしいな」


拓「あぁ…なんか、妙に不安だったっていうか…」


昴「そーいえば、俺もそれは感じたな。俺もあんな風に言うつもりはなかったし」


拓「だよな。もしかしたら…なんかそーゆー嫌な何かがあるのかもな」


そんな会話をしている時だった。


昴「!」


結構、前の廊下の先に真っ直ぐ進んでいく影が見えた。


誰かは分からない。


昴「おい、拓海あれ!」


昴は指を差して拓海に教える。


拓「もしかしたら…文太かも!?」


やがて、その影は左に消えて行った。


拓「ヤバッ!見失ったら面倒だぜっ!追いかけようっ!」


昴「あぁ!鬼かもしんねーから、気を付けて行くぞっ!」


拓「おぅ!」


二人は急いでその人影を追いかけた。