隠れ鬼ごっこ

怜「さて…。どうやら始まっちまった様だな」


俺は懐中時計を見ながら言った。


懐中時計が指してるのは18時。


明日の6時までこの状況だ。


昴「ど…どうすんだよ」


昴は顔を真っ青にしながら言った。


拓「なんで俺がこんな目に……」


拓海が呟く。


文「…ゴメン……」


文太が目を伏して言った。

自分がこのゲームをしようと言ったから責任を感じて居るのだろう。


すると拓海が言い返した。

拓「そうだぞ!文太!俺はガセだって聞いたからやったんだぞ!」


拓海は不安なのか声を荒げる。


文「俺だって本当にあると思わなかったんだ…。本当ゴメン……」


拓「謝って済む問題かよ!」


怒鳴る拓海に昴が声をかける。


昴「お、落ち着けよ。拓海」


拓「これが落ち着いていられるか!?死ぬかもしんないんだぞ!?」


昴「それは……。そうだ……よな…。死ぬのかな…俺達…」


悲しそうに呟く昴に拓海は声を荒げて言う。


拓「死ぬに決まってんだろ!あんな化物が追い掛けてくんだぞ!?しかも、あのピエロが鬼は足が早い。捕まれば八つ裂きだって言ってただろ!?」


雅「で、でも、逃げ切れば助かるんだよ?」


今まで黙っていた雅明も小さな声で言った。


だが、今の拓海に何を言っても無駄だった。


拓「助かるかよ!俺達、全員殺されるんだ……。っ………」


昴「こんな所で死にたくなんか……」


昴が頭をかかえた。


文太はずっと目を伏している。


雅明は必死に拓海を説得しようとしている。


雅「そんな事ないよ!皆で協力すれば……」


拓「協力!?協力してどうにかなんのかよ!?大体…雅明があんな手に捕まらなかったら逃げ切れたかもしれねぇのに…!」


ブチッ


拓海は言ってはいけない事を連発していた。


だからかは分からない。


だが……


拓海のその発言に俺の中で何かが切れる音がした。


怜「いい加減にしろよ!!」


「!」


俺は校庭に響き渡る様な声で怒鳴った。