怜「なっ……!」


こんな事テレビや映画の世界でしかありえないはずだった。


なのに…


今、その非日常的な事が目の前で起こっている。


雅「に……逃げて、さ…とし…」


雅明が必死に口を動かしてそう言った。


拓「なんだよ、どうし――」


状況が分からない拓海が近付いてきて、その現状を見た。


拓「うっ…うわああ!」


拓海が叫び声をあげた。


その叫び声に2人も今、起きている状況に気付いた。

昴「うわああ!!」


文「なっ…!」


少し間を開けてから拓海が走り出すのと同時に昴も走り出す。


文太も数歩後ろに下がった。


でも、俺は動けなかった。

逃げたい気持ちと恐怖…そして雅明を助けなければという気持ちがごちゃごちゃになる。


雅「は…早く、にげ……」

雅明がそう言った時だった

「逃がさないよ……」


怜「!?」


鏡の中から声が聞こえた。

次の瞬間、4本の手が伸びてきて俺と文太、走り出した2人を掴んだ。


ミシッ…


怜「ッ!」


肩を掴んでいる、その手は青白くもの凄い力だった。

そして、そのまま鏡の中に引っ張られる。


雅「うわぁぁ!」
怜「うわっ!!」
文「うわぁ!!」
拓「うわああ!」
昴「うわあぁ!」


俺たちは成す術もなく鏡の中に引きずり込まれた……。