―18の春。



あたしは5月生まれだったから

18の春で大学一年生。






でもあたしは大学には行かなかったから

学生であるわけでも

社会人であるわけでもなく

バイトしながら生活してた。







いわゆるフリーター。

一人暮らしで彼氏もいなかったし

毎日がすごく自由だった。












あたしは少しお高そうなレストランで働いていた。




今日もいつもとかわらずバイトを終えて

12過ぎに店を出て歩いていた。







「今日は天気いいしちょっと歩いてこうかな…」



あたしはいつも渡るいかにも危ない地下道を通らずに

離れた公園の方から遠回りをして帰ることにした。














―――『この時いつもみたいに

地下道を通っていれば

あなたに出会わなかったかもしれない』



なんて少しロマンチックに

物語を書いてる小説を読んだことがあるけど

あたしはそんなの気にしない。




信じない。











だってもしあたしが

いつもの地下道を通って

もし変なオヤジに絡まれたとしても

お店で友達とディナーをしてから帰ったとしても






きっと陽ちゃんはまた

いつものバス停で憂鬱そうな顔をしながら

女の子と抱き合ってただろうから。











でも今日はなぜか

名前も知らなかった陽ちゃんが

あたしに会うために来たように

公園のベンチに座っていた。