でも、祥介さんが謝った理由がすぐに分かった。


電話の向こうで救急車のサイレンが鳴り響いていた。


それなのに、祥介さんの家からまだ20メートルほどしか離れていないここでは、サイレンの音は聞こえない。




祥介さんは家にいないんだ……。


あたしに嘘ついたんだ……。





あたしはそれに気づいて悲しくなってるのに、祥介さんは気づかずに『おやすみ』と言い電話を切ってしまった。



あたしの耳にはツーツーっと機械音が残るだけだった。



それが胸にも響いてくるみたいな感触に陥ってしまう。