ほんとは、
こんな暗闇なんかへっちゃらなんだよね。
邪魔だと言われて何度夜の外に出たことか。

もう慣れてしまった。

でも、
怖いのは嘘じゃない……………。


あの場所で、
あの部屋で急に暗闇から伸びてくる手。

月日を重ねても、
その暗闇から伸びてくる手には、
いつまで経っても慣れることはなく、

早く眠れ眠れ

そしたら、感覚なんて麻痺してしまうから。
だから、早く早く眠って。

と、思っている夜に重ねてしまって、
今に手が暗闇から出てくると、
ありもしない幻想を思い浮かべ、
震え足がすくむ。