鬼殺し

仁史の思考は完全に引っくり返っていた。何が真実で何が虚実なのか、誰を信じて何を疑えばいいのかわからない。

ただ、自分でも押さえようのない、行き場のない熱い物が腹の底から沸き起こってくるのを感じた。

「それは俺が涼子に贈った指輪だ。なんで、お前が持ってる?」

仁史の低くくぐもった声がかすれた。

「なんでもない、貰ったんだよ!涼子が俺にくれたんだ。

間違っても俺は涼子を殺してなんかいない!」

雅人の必死の弁明の間にも、仁史はじりじりと雅人へ近づいていった。

同じパイプ上に繋がれている仁史と雅人は間に沙耶香を挟んで、部屋の隅へとじりじりと移動した。