鬼殺し

「部長のバイオリンの4弦の音が……」

仁史が俯き加減で軽く礼を言うと涼子は固い表情のまま体を翻し、自分の席へ戻ろうとした。

「まって。俺も気になってたんだ」

仁史はもらった小箱を自分の席に置くと、涼子の後を付いて行った。

「いつもこの音を出す時だけ震えてる」

涼子が構えるフルートに手を添えながら仁史が教えると、はっとなったように涼子の両頬が赤く染まった。

「薬指の間接が人より長いんだね。もっと、指の腹の奥で押さえるといい」