「ねえ麗、先輩にはなんて返事したの?」


あれから数日後、いつものように登校中の電車の中で、麗にさりげなく話を振ってみた。

そうそう、あの時痴漢にあってから、僕たちは早めの電車に乗ることにしたから、車内はそんなに混んでない。

あんなに怯えていたんだもん、もう二度と誰にも麗の体を障らせたりしないって思ったさ。




「返事って、別に何もしてないけど…」




けど何なんだよ!?って、ちょっとイラつく。




あれから麗は、ずっと上の空で、ぼんやりしてばかりだ。

きっと、二階堂先輩のことでも思い出してるんだろ。


そのなにげに幸せそうな態度が、僕を余計イライラさせていた。


もろジェラシーですよ・・・

絶対誰にも取られないと思っていたのに、何でよりによって、学校一のイケメン部長にもっていかれるんだよ。



「ねえ樹?
こういう時って、どうしたらいいのかな?
別に、付き合ってとか言われたわけじゃないじゃん?」




そんな風にいう麗の気持ちが、ホントはちゃんと付き合ってみたいんだって、明らかにわかった。

だからちょっと意地悪してみたくなったりもして。