廊下でとぼとぼ歩いていた。

どすっ!!

人にぶつかった。
誰だよ。こんなにイライラしているときに…。
上を見て睨んだが、すぐにあたしは目を逸らした。


「れみか。そんな顔すんなよ。わるかったな。


元彼がいた。
中野亮。勉強もスポーツもできるけど
あたし以外の女には冷たかった。
今は…女で溢れている。

「どれにたいして…悪いと思ったの?」

「…付き合っていることと、転ばせたこと…。
メールの返信こなかったけど…」
さびしそうな顔を…そんな顔を見たくない。
「俺。鈴奈と付き合っていても好きなんだ。
だから…れみかは…誰とも…
付き合わないでほしい…」


「ふざけな「ふざけんじゃねぇよ」


あたしの言葉を遮ったのはナオだった。
いつもは優しい顔なのに今はものすごく怖い。

「お前、れみかをこれ以上振り回すな!!
お前はお前の道を突っ走れ。
何か理由があるのは分かるが、れみかは十分
傷ついたし、我慢もした。
もうこれ以上傷ついている姿は見たくない。
…もうれみかの前に姿を現すな。」


なんか、胸がじーんとしてきた。


んっ?


なんか腰に違和感を感じる。


!!!あたしの腰に手をまわしてるし!!
ナオ…これじゃあみんなが勘違いするではないか…


「わかった。悪かったなれみか。俺、れみかの
気持ち考えないで行動してた。ごめんな。」



そして、亮は去って行った。
安堵の息をつく。が、まだ腰に手が…。
「あのぉ…」
「ん?」
腰にまわしてる手を指さす。
「あっ!ごめん!」
やっと離れてくれた。
でも、やっぱり緊張するし。
あたしは耐えられずに

「ありがとう」

と言って、ナオから去った。