填めていたコットン手袋を外した――彼女の左手に、中指と薬指が存在しない。 「皆、手袋を填める私に面白半分に取ったりする。実際、これを見ると皆気味悪がって、噂が広まって、友達なんていないの……」 「中野」 「先生達もそう!私の事情を知ってるから、視線はいつもこの左手。プリントとか渡す手が震えているくらい、私、分かってる」