明らかにその金は尋常じゃない大金。 高校生が1、2ヶ月バイトで働いても貰えるはずがない。 札束を取り上げ、床に捨てた。 「何すんだよっ!!」 床に転げ落ち、必死に這いつくばって、散らばる一万円札を寄せ集める千春。 「せっかく体を張ってつくった金なのよ。これで……」 千春の薄っぺらい肩に手を掛ける。 背後にしゃがんだ僕は、金に心酔する千春の姿に、呆れるよりも哀しくてならなかった。