何もない。 田畑が目立って、小さなスーパー程度しかない場所で、僕と千春は出会い、育ったんだ。 ほんの数センチ開いた窓から、生温い風が僕の短い髪を強く吹きぬける。 「せーんせいっ!!」 「――んっ?!」 突然右耳のイヤホンが外れた。