片手に溜まった海水をじっと見つめたまま固まった。 「誤解していた、千春さんを」 「誤解?」 ライン真っ直ぐな夏バージョンのブレザー制服の背後。 僕は、流れ着いたボロボロの大木に腰を落とした。 黄色の陽射しに染まった明るい、セミロングの黒髪を風に靡くのを眺める。