肩を一度離し、顔を覗き込むように自分の顔を千春へ近づけていく。 『僕、伝えたいことがあるんだ』 震える唇が触れるくらいの近距離で、 『健ちゃん……』 千春が目を細めた。嬉々含めた優しいソプラノで僕の名前を発する。 『僕……僕さ――』 ――瞬時、スーッ、と千春の姿が見えなくなってしまった……