トイレに駆け込み、
鏡に写る自分を見ると
一粒の涙が頬を伝っていた。
何かの間違いだと思っていた。
冗談だと翔くんに
笑って言ってほしかった。
もう翔くんの中に私はいない。
哀しいや辛いだけで
済ませる訳がなかった。
目を覚まして私のことを
責めてくれる方がよかった。
嫌われてもいいと思っていた。
それもできるはずがない。
「私…もう…いないんだ……」
翔くんの中には私はいない。
頭が狂ってしまいそうだった。
私は理性を失うように
大声で泣き崩れた。
どれほどの涙を流しただろうか。
私の目が枯れたとき
私は初めて神様を信じた。
神様は私に罰を与えたんだ。
翔くんを事故に遭わせた私に…
恨みはしなかった。
悪いのは全て私だから。
神様は悪い私に
大きな壁を与えたんだ。
「私…乗り越えられるかな?」
私は立ち上がると
病室へと向かった。
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