「なぁ春、ちょっと出ないか?」
「うん。」
店を出るとお馴染みの
公園へと向かった。
少し速歩きの翔くん。
その背中を眺めると
とても愛おしく思えた。
公園に着き、足を止めると
振り返った翔くんの胸に
おでこがぶつかった。
「ゴメンっ。大丈夫?」
「あぁ。俺も悪ぃ。」
私が離れようとすると
翔くんの手がそれを妨げた。
「翔くん?」
「春のこと見てると
なんか抱きしめたくなる。」
「えっ?」
「春の顔見てると
自分が自分でなくなる。」
「…嬉しい。」
「えっ?」
「みんなと一緒は嫌だもん。」
「そっか。
春は俺の特別だからな。」
「ありがと。
私は翔くんと居たら
本当の自分で居られる。
何となくそんな気がする♪」
「…よかった。」
私たちは無言になると
静かに唇を重ね合った。
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